
「転職先は決まったけれど、退職手続きってどうすればいいの?」
特に公務員から民間企業へ転職する場合、退職までの流れや必要書類、引き継ぎなどで不安に感じる方は多いと思います。
私自身、地方公務員から上場企業へ転職する際に「退職スケジュール」「辞表の書き方」「引き継ぎ」「退職金」など、数々の”初めて”に出会いました。この記事では、公務員がスムーズに退職するための全体の流れと必要書類を私の体験談を交えて解説します。
退職スケジュールの基本と私の実例
退職の報告
内定をゲットした後、次にやらないといけないのは現職への退職報告です。退職の報告って、職場にとってはネガティブな出来事なので「言いにくいな~」って思いますよね。でも、そのままずるずるしてしまうと、あっという間に退職日になってしまいます!内定先が決まった時点で早めに退職の報告をしましょう。
退職のスケジュールは「いつ伝えるか」が最も重要です。私が勤めていた市役所の人事担当は、

服務規程上は1か月前だけど、最低でも退職日の3か月前までに報告してほしいかな…何なら大規模な人事異動がある4月の一年前に言ってほしい(笑)
とのこと。内定が出るタイミングや内定先との入社時期の調整もあるので、さすがに1年前はなかなか難しいですが…基本的には退職日の3か月前がベターなようです。
ちなみに公務員の場合、次の服務規定(市役所内のルール)が一般的と言われます。

私の場合はC社の内定が出た翌日に上司へ報告。退職希望日の1か月半前でした。ギリギリ服務規程違反ではなかったものの、実務的にはかなり急なスケジュールでした。
退職願・退職届(辞表)の書き方
退職時に提出する文書には大きく2種類あります。
- 退職願:退職をお願いする文書。組織の承認が必要。
- 退職届:退職の意思を一方的に示す文書。提出すれば退職が成立。
私はすでに意思が固まっており、また退職までの期間が短かったため、退職願ではなく退職届を提出しました。フォーマットはなかったのでネットのテンプレートを参考にPCで作成。A4用紙1枚に印刷して白無地の封筒に入れ、上司へ提出しました。角が立つこともなく、無事に受理されました。

当時の上司からは「なんかちょくちょく休んでるからどうしたのかな~と思ってたけど、転職だったのね」と言われました。確かに自分のイントラのスケジュールを見返すと、午前休暇・午後休暇・2時間単位の休暇…など多用していたので転職経験者や勘の鋭い人だと気が付く方もいるかもしれません。でも内定が出るまでは聞かれてもしらばっくれてればOKです!(笑)
公務員の退職手続きの全体像
退職届を出したら…
退職届を出した後の大まかな流れです↓
- 人事課に関連書類を提出(共済・退職金など)
- 内定先の必要書類を準備(住民票・年金手帳など)
- 担当業務の引き継ぎ
- 挨拶回りや送別会の対応
ポイントは「退職時に出す書類」と「内定先に出す書類」が並行して必要になること。特に役所関係の証明書は取得に時間がかかったり、平日昼間しか取得できなかったりするので、早めに動いておくと安心です。
退職時に提出する書類
公務員を退職するときに必要になる書類は、自治体によって多少異なりますが、一般的には次のようなものです。
- 健康保険・共済組合関係:保険証の返却、共済脱退の手続き
※退職してから内定先の入社日まで間がある場合、共済組合の健康保険を任意継続する書類の提出をします。国民健康保険に加入する場合は不要ですが、別途資格喪失証明申請書が必要です。 - 退職手当(退職金)支給請求書:退職金を請求するための書類
- 退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書):退職所得控除を受け、所得税・住民税の源泉徴収を完了させるための書類(これを提出すれば、原則として確定申告は不要になります)
- 共共済貯金払戻・解約請求書済貯金の解約書類:給与天引きで貯金をしていたら提出が必要な書類
退職の手続きは私たちよりも人事課の方たちの方が慣れています。基本的には案内があるので、言われた書類を書いて出せばOKです!

書類以外にも防災服や作業服の返却もあります。特に防災服は厚手なことが多く、乾きにくいので退職日までに洗ってきれいにしておくと◎。
また、当たり前ですがロッカーやデスクは空にして、綺麗な状態で引き渡しましょう!有休消化をしない場合は直前まで働くので、なかなか整理が大変だと思いますが、必要最低限のものだけデスクに残しておくといいと思います。
内定先に提出する書類
同時並行で進めなければいけないのが「内定先に出す書類の準備」です。会社によって求められるものは違いますが、私の場合は次のような書類の提出を促されました。
- 住民票(役所で取得。マイナンバー入りのものが必要だったため、コンビニなどでは取得できません)
- 源泉徴収票(退職後に前職から郵送される。新しい職場に入社後、届いてから提出)
- 年金手帳(基礎年金番号がわかる書類であればOK)
- 身元保証書や誓約書(会社指定のフォーマット)
退職手続きと並行して対応する必要があり、役所に通う手間もありました。役所に行くためには休暇を取らないといけないので、余裕をもって準備しておくと安心です。
また、雇用保険被保険者証の提出を求められることがありますが、公務員の場合はそもそも雇用保険に入っていないため、雇用保険被保険者証はありません。内定先に「公務員のため、ありません」と伝えればOKです!
忘れてはいけないのは定期の購入です!時期や時間帯によっては、駅の窓口が混みあいます。また、窓口での新規購入の場合、購入時に書類を書く必要があります。時間に余裕を持って準備した方が安心です。

自動券売機でも買えますが、他路線への乗り換えがある場合、購入方法が複雑になります。私も他路線への乗り換えがあったので、間違えのないように駅の窓口で購入しました。
引き継ぎで工夫したこと
私の職場はマニュアルを残さない文化で、基本は「背中を見て覚える」スタイル(ほとんどの市役所は同じではないでしょうか?)。これでは効率が悪いと感じていたので、日頃から自分の業務をまとめ、簡単なマニュアルを作っていました。
おかげで退職が決まってから慌てることはありませんでしたが、管理職が引き継ぐ職員をなかなか決めてくれず、最終的な引き継ぎは退職日の3日前。通常は2週間程度の引き継ぎ期間があるので、時間的にはかなり大変でしたが、マニュアルがあったことで最低限はスムーズに対応できました。
公務員の退職金はどれくらい?
私の場合、十数年勤務して約300万円。定年まで勤めれば2,000万円ほどになると言われているので、やはり途中退職では少なく感じました。
退職金は大体5年ごとに増える仕組みがあり、あと1年働くかどうかで数十万円変わる場合も。退職を検討している方は、給与担当に見込み額を確認しておくと判断の参考になります。
退職時のエピソード
有休消化ができなかった
退職時には約20日間有休が残っていましたが、退職までの期間が1か月半しかなく、さすがに「明日から有休消化にはいりまーす!」とは言えなかったです…。それに立つ鳥跡を濁さずという言葉があるとおり、現職の方々に嫌な思いをさせて去りたくないとも思っていたので、有休消化をしない覚悟をしていました。

本音を言うと、もちろん休みたかったです(笑)だって、約20日間も休めるなんて働いていたらなかなか機会がないじゃないですか…?人生最後の夏休みのチャンスを逃したかもですが、こればっかりは仕方がないですね。
挨拶用のプチギフト準備がちょこっと大変だった話
十数年在籍していたため、お世話になった同僚や先輩、上司、市民の方々へ感謝の気持ちを伝えたいと思い、退職時の挨拶用プチギフトを準備しました。
ただ実際に準備を進めてみると、「全体用」「個別用」「お餞別への内祝い」と種類が多く、時間も費用も想像以上にかかってしまいました。
私が全体用に選んだのは 入浴剤ギフトです。理由は「形に残らない」こと。食べ物にするかも悩みましたが、相手の好みや賞味期限を考えると難しい面もあり、その点入浴剤は誰でも気軽に使えて、日々の疲れを癒やすちょっとした贈り物になると思ったからです。
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家族に感謝を伝える
転職活動を応援してくれた家族に感謝の気持ちを込めて、ちょっといい料亭でのご飯をプレゼントしました!ある意味、節目でもあるので思い出になりました。
まとめ
公務員の退職で押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- 服務規程では1か月前の届け出が必要(3か月前が望ましい)
- 公務員としての退職手続き(人事課・共済・税金関係)
- 内定先に出すための各種書類(住民票・源泉徴収票など)
- 引き継ぎや挨拶といった人間関係の整理
特に初めて転職する方は、初めての退職になるのでなれない手続きばかり。転居を伴う転職の場合、さらに引っ越しの準備で忙しいと思いますが、心づもりができているだけでも違うと思います。
ここまで出来たら、いよいよ新しいキャリのスタートラインに立つのみです!
次回:【公務員から民間へ】入社初日のリアルと準備のコツ|有休なしで転職した私の体験談


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