
「転職したい」と思ったものの、いざ動き出そうとすると「何から始めればいいの?」と完全に立ち止まってしまいました。
しかも私は30代半ば、公務員としてそれなりのキャリアはあるものの、民間では未経験。さらにマネジメント経験もなし。「これで本当に転職できるのだろうか?」という不安が頭の中をぐるぐる回っていました。
転職活動の流れ
転職活動の全体像と私の実体験スケジュール
まずは、転職活動の全体像をざっくり整理してみました。
一般的な転職活動の流れ
- 自己分析・転職軸の設定:1〜2週間
- 転職エージェントとの面談:数回
- 応募開始〜書類選考:1〜3か月
- 面接(一次〜最終):1〜2か月
- 内定獲得〜入社準備:2〜4週間
私の場合
- 自己分析・転職軸の設定:約1年(!)
転職しようか迷っていた時期も含め、フリーの転職相談や書籍の読書、ストレングスファインダーやMBTI診断などを活用して、自分をじっくり整理しました。 - 転職エージェントとの面談:数回
最初は4社登録し、最終的には2社を継続しました。 - 応募開始〜書類選考:約5か月
書類落ちが続いたため長引きましたが、この間にも面接はちょこちょこ入りました。 - 面接(一次〜最終):約4か月
書類選考と並行している部分があるため、期間が長くなりました。一次面接はWEBが多かったですが、いきなり対面の面接もありました。 - 内定獲得〜入社準備:約1か月半
前職のご迷惑にならないように本当は退職報告を3か月前にしたかったのですが、なかなか内定が取れず結局1か月半前の報告となってしまいました。(ちなみに前職の就業規則だと1か月前でOK。民法上だと2週間前でOKだそうです!)
ご参考までに…
まずは「とにかく自己分析」からスタート
最初に取り組んだのは、求人探しではなく「自己分析」でした。
自分の強みや弱み、得意なこと、逆に絶対にやりたくないこと、働く上で譲れない条件……一つひとつ書き出していきました。
自己流では限界を感じたので、フリーのキャリア相談者に話を聞いたり、自己分析フレームワークが載っている書籍や人生を振り返れる書籍を参考にしました。
特に参考になったのはこの4冊です↓
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最初はぼんやりしていた「なんとなく得意かも」ということも、言葉にして書き出すことで整理され、「あれ、意外と自分にもできることあるじゃん」と小さな発見につながりました。
キャリアの棚卸で「自分にできること」を見える化
自己分析で価値観や希望条件を整理したあとは、これまでの仕事を振り返り「キャリアの棚卸」を行いました。
具体的には、担当してきた業務を書き出しながら、そこで培ったスキルや工夫したことを一つひとつ整理しました。
私は以下のサイトを参考にキャリアの棚卸をしました!
転職サイトtype『自分に合った転職先を見つける「キャリアの棚卸し」』
たとえば私の場合は…
広報担当
→ プレスリリース作成・取材対応・HP更新 → 文章力、発信力、情報整理力
子ども関係の部署
→ 保護者対応、制度改正の周知、関係機関との調整 → 住民対応力、説明力、調整力
庶務業務
→ 業務マニュアルの作成、システム入力の効率化 → 改善力、事務処理スピード
一つひとつは当たり前にやっていた仕事ですが、言葉にして並べると「意外といろんなスキルを積み上げてきたんだな」と気づけました。
こうして整理すると、履歴書や職務経歴書を書くときにも使いやすくなりますし、面接での自己PRにも直結します。
「自分には何もない」と思いがちな人ほど、キャリアの棚卸はおすすめです。
これまでのキャリアを思い出しながら書くので時間はかかりますが、絶対にやった方がいいと感じました。
自己分析とキャリアの棚卸の先にあった「転職軸」の設定
自己分析を進める中で決めたのが、転職活動の“ものさし”=転職軸です。
転職軸とは、働く上で大事にしたい価値観や「これだけは外せない条件」を指します。
これをはっきりさせることで、求人探しや面接での答えに一貫性が出て、迷いも減ります。
私の場合、以下の軸を定めました。
- 職種軸:情報を整理して伝えるスキルを活かせる仕事(=広報職が中心)
- 成長軸:努力や成果が正当に評価される環境
- 年収軸:年収は維持またはUP。下がる転職はしない
優先度を下げた項目もあります。
たとえば通勤時間。今までは「職住近接」で徒歩や自転車通勤が当たり前でしたが、転職の幅を広げるために「片道1時間程度までなら許容」としました。
エリアも居住地県内で探していましたが、実際に紹介される求人はほとんど都内。年収維持・UPや広報職といった希望条件を考えると、地元(郊外エリア)ではなかなか見つからないのが現実でした。
こうして取捨選択をすることで、求人を見るときに「これは軸に合う/合わない」と判断しやすくなり、転職活動のブレも減ったと感じます。
結果として、「やっぱり私は広報としてキャリアを築きたい!」と改めて実感。
そして、転職軸を武器に、いよいよエージェントとの面談へと進みます。
エージェントとの面談で突きつけられた現実

転職軸を決めた後、転職活動の第一歩として転職エージェントと面談を行いました。
自己分析やスキルの棚卸で「広報職としてキャリアを築きたい!」と方向性は固まったものの、面談では現実を突きつけられます。
私は「転職エージェント」を選びました
ちなみに、私は転職活動のスタートにあたり「転職サイト」ではなく「転職エージェント」を利用しました。
- 転職サイト
自分で求人を探して応募する仕組み。求人の数は多いが、スケジュール管理や企業とのやり取りはすべて自分で行う必要があります。 - 転職エージェント
専任のアドバイザーがつき、希望条件をもとに求人を紹介してくれる仕組み。企業とのやり取りや面接の日程調整、履歴書・職務経歴書の添削などもサポートしてくれます。
私は「公務員から民間」という不安もあったので、一人で進めるよりもプロに相談しながら進めた方が安心できると思い、エージェントを活用しました。
人気職種ゆえの厳しさ
エージェントからは、希望する広報職は「人気かつポジションが少ない」と教えられました。
営業のように大量募集がある職種とは違い、広報はそもそも求人が少ない。一つの椅子を大勢で取り合うイメージ。しかも取り合う相手の中にも20代やもしかしたらマネジメント経験がある人もいるかもしれないとのこと。覚悟はしていたけど、民間企業への挑戦は簡単ではないな…と実感しました。
公務員から民間への壁
面談では、転職理由や軸を伝えたうえで、エージェントから「公務員から民間は難しい」「30代半ばはマネジメント経験が問われる」と率直に言われました。
特に、公務員と民間ではそもそもの組織体質がまったく違うことが、大きな壁になるとのこと。
世間一般には「公務員=定時退社・安定・倒産しない」といったイメージがあります。利益を追求して常に成長し続ける必要がないため、民間企業が求めるスピード感や成果主義とは相性が悪い、と見られてしまうのです。
もちろん、公務員の中にも優秀な人は多くいます。ですが、それでも「公務員」という肩書きだけで、どうしても上記のようなイメージを持たれてしまうのが現実でした。
厳しい現実を受けて「どう動くか」を考えた
面談後、現実を受け止めつつも、「じゃあどうすれば評価されるか?」という視点を持つことができました。そこで、これまで行っていた棚卸しをさらに深掘りし、「民間ならどう活かせるか」という使い道に落とし込むことにしました。
たとえば、調整力は部署間や取引先とのやり取りに、文章力は広報や情報発信に、改善力は業務効率化や仕組みづくりに応用できる——といった具合です。
改めて整理してみると、これらのスキルは民間でも十分に活かせそうなことが分かりました。「需要がないかもしれない」という不安はまだ残っていましたが、具体的に言語化することで、「全くゼロではない、活かせるものはある」と前向きに考えられるようになったのです。
転職活動の心構え
それでも、この面談は逆に良い刺激になりました。
なぜなら自分の希望と現実のギャップを知ることで、
- どこを譲れるか
- どこは絶対に譲れないか
- 足りない部分はどう補うか
を冷静に考えられるようになったからです。
まとめ
転職活動の第一歩は「自己分析」と「転職軸の明確化」。
ここで土台を固めておくことで、不安や壁に直面してもぶれずに進められます。
私自身も「30代半ば・未経験・公務員」という条件に不安を感じていましたが、自己分析やキャリアの棚卸を通じて「活かせる強みがある」と気づけたことで、一歩を踏み出す勇気につながりました。
また、エージェントとの面談で厳しい現実を知ったからこそ、譲れる部分と譲れない部分を整理でき、今後の戦略を考えるきっかけにもなりました。
次回:30代・地方公務員の履歴書&職務経歴書作成のリアル体験
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